あっ、もしかして、スウェードではなく、額の方で使うのに、ぴったりな作り方ではないか、と気がつき、長年の宿題を解くかのように、嬉々として、フレームの形状を考えました。
枠のかたちは、くるくると向きを変えたら、4つの異なる額ができる形になっています。一粒で4度おいしい。
枠のかたちは、くるくると向きを変えたら、4つの異なる額ができる形になっています。一粒で4度おいしい。
小さなお財布 を作りました。
お財布のレンタルの際に、感想を書いていただくカードサイズの用紙を同封していていましたが、こんな小さな用紙には収まらないから、とメールでとても細かく感想をいただきました。こんなお財布があったら、との要望も具体的に書いてくださっていて、それを読んでいると、このお財布を作ってみよう、という気持ちがむくむくと湧き上がってきました。去年の8月のことです。
一番最初に、一つのパーツで構成されたお財布が出来ました。それはそれで面白いのですが、扱うときに集中が必要なお財布でした。そのお財布を使っていると、マニュアルとオートマという軸が出てきました。
このハイパーなマニュアル財布はリリース出来そうにないけど、扱うときに心地よいマニュアル感ってあるはずだ、と思い、その座標軸をもとにして、お財布を考えてみようと思いました。オートマからマニュアルまでのサンプルを作り、心地よいマニュアル感はこの辺りかなと切り取ったのが、このtiny walletです。
去年は寸法を、数字で細かく計算しながら進めていましたが、なんとなく計算してたら完成しないような気がしたので、今回は細かく計算するのはやめて、サンプルを観察することに重きをおいて、進めました。
心地よいマニュアル感が奈辺にあるのかを探すのは、初めてのことでしたので、いつものごとく、もりもりサンプルをつくりました。
独立当初に僕が嬉々として何度もサンプルを作っているのを見て、(おそらく老婆心として)「最終形を2回のサンプル作りで作れないなら、プロとは言わないよ。」と言われたことがありました。まぁ、そんなにサンプルに時間をかけていたら、食っていけないよ。というニュアンスが込められていたように思います。
まぁ、そりゃ、そうだよな。と思うところもあったのですが、それよりも、2回で完成させなくてはダメということを自分に課してしまうと、2回で完成するものしか思い浮かばなくなるんじゃなかろうか?
それから、その言葉のおかげで、新作作りのサンプル制作は、趣味のようなものと位置づけできるように、仕事の仕方や環境も組み直していきました。前にも増して、自分が納得いくまで何度やってもOKにしました。2回で完成するのなら、それもOK。完成しなくても、それもOK。
制作した無数のサンプルのいくつかは、僕が「新作墓場」と呼んでいるボックスに納められます。サンプルを全てとっておくことはできないので、消化不良だなと感じるものや、今のところよく分からないものを優先して残します。毎回サンプルを制作するたびに、新作墓場はいろんな時間軸を含んだ、豊かなカオスになっていきます。
新作を作るときに迷ったら、「新作墓場」にアクセスすると、そこに答えがあったりします。
今回も制作を再開する時に、墓場から関連しそうなものを、机にならべ、それを眺め、また墓場に入れを繰り返し、のこったものを組み合わせ、制作を進めました。
もし今、「最終形を2回のサンプル作りで作れないなら、プロとは言わない。」
と言われたならば、「それでは、豊かな新作墓場が作れない。」と答えることと思います。
今回は特に、新作墓場の助けを借りて完成させることが出来たと感じています。
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LGW14 - tiny wallet
size : w95×h65×d20 (mm)
card : ×5
カバンの工房で働いていた頃の後輩からオーダーをいただいたき、財布を作りました。
8年くらいANDADURAのお財布をお使いいただいている方から、ファスナーの修理のご依頼がありました。8年ぶりに再会したお財布には、お子さん3人の名前の刻印がありました。
修理とは別に、長男さんの大学の入学のお祝いにと、お財布に刻印を入れたい、とのご要望をいただきました。
刻印で打つ文字は、TOWEL(タオル)。タオルが手元にあると、落ち着くとのことで、長男さんが選んだ言葉。実際にTOWELの版を組み、刻印する。思いを込めた言葉を打つのは、気持ちいいなぁ。刻印を再開してみよう、という気持ちになりました。
ひとまずは、オンラインショップで、はじめてみます。
刻印のホルダーは金属加工の業者さんに「こんなの作ってください。」と図面を書いて作ってもらったものです。この道具を、また使えるのが嬉しいです。
フォントは、英字がバンハートメジウムゴシック、数字はゴウディ ボールド、
フォントサイズは4号(13.75pt)、築地活字さんの活字です。
刻印をご依頼いただく際は、文字の他に、言葉の理由についても、お伝えていただけたら(任意)、刻印を打つことが楽しくなり、山本が喜びます。
コメルはこちらからご覧ください。大切な言葉に出会えるのを楽しみにしています。
open case を新たなサイズで制作しました。
工房にある、油圧裁断機(通称クリッカー)のオイルを交換しました。
クリッカーのオイル交換は検索してみても、数件しか記事がなかった(説明書なども出てこない)ので、自分が行ったやり方を忘備録をふまえて書いてみます。このやり方が合っているかは分かりませんが、参考になれば、と思います。
使っているクリッカーは大石工業さんのOHC-1000A(ふじA型)です。オイルはハイドロリックオイル(油圧作動油)の32番です。
前面のパネルのネジを外します。
機械の底に、オイルが溜まっています。
これを灯油缶に移していきます。地味にシュポシュポと入れていきます。
クリッカーを購入した際に、前の持ち主の方から伝えてもらったのは、30番手のオイルを60リットルとのことでしたが、オイルを全部灯油缶に入れても、40リットルでした。うーん、どっちを信用しようか。
クリッカーのオイル交換の際に大変なのは、廃油をどうするか、という事ですが、僕は近所のガソリンスタンドのおっちゃんに相談し、廃油を引き取ってもらいました。その後、灯油を0.5リットル入れ、灯油缶の中を洗い→廃油→また灯油を0.5リットル入れて、を3回繰り返しました。
オイルを抜いて、オイルを入れればいいと思っていましたが、クリッカーの製造元の記事によると、全部オイルを抜いた後で、灯油で清掃して綺麗な状態にして入れないと、新しいオイルを入れても、オイルがすぐに汚れるとの事でしたので、僕もそりゃそうだ、と思いましたので、そのやり方にしました。
オイルを抜いていくと、手前の底の方に、ろ過フィルターが現れます。
このフィルターでオイルをろ過しています。
30mmのスパナでも取れない、大きい径のナットを回して取ります。(工具を駆使して、なんとか取りました。)
中にろ過材が入っているのかと思いきや、スレンレスのネットで濾しているだけみたいです。
1Lのペットボトルを切り、灯油につけて、目詰まりを取ります。この灯油はクリッカー内部の清掃に使います。
シュポシュポで底部のオイルを取れるだけとり、あとはウェスでオイルを拭き取っていきます。だいたいオイルが拭き取れましたら、先ほどの灯油を入れ、内部をきれいにしていきます。僕は灯油を入れて拭いてを3回繰り返しました。3回くらいでおおよそ綺麗になりました。
内部を綺麗にしたら、ろ過フィルターを取り付け、オイルを入れてオイル交換完了です。
クリッカーの中をくまなく見てみると、上の方にギアがありますので、ここはグリスアップしといた方が良さそうです。
オイル交換と言いながらも、フィルター清掃や、内部掃除があります。どこまでやるかは、それぞれの判断でお願いします。
こういう説明書の無い機械のメンテナンスは、個人ブログの記事が参考になることが多く、いろんな方のブログのお世話になっている身としては、たまには自分も書いておこうと思い、つらつら書いてみました。