ANDADURA

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2019.3.6

わたくしの反リトルピープルモーメントの打ち立て方

我輩は工房である。窓はまだ無い。
というわけで、ビニールシートライフが続いております。

強化ガラスの生産が全国的に遅れている(ほんまかいな)らしく、
またもや延期。建具が取り付く段になると、いろんな事が巻き起こり先に進めない、
人参をぶら下げられた馬のような心境です。

そして、思った事。
リトルピープルはいる。(1Q84)
今回も建具をつけさせない勢力が
またしても良い仕事をしてくれた。

1Q84では、リトルピープルに対し、夢の中でふかえりちゃんと
交わり、反リトルピープルモーメントを打ち立てるのだけど、(読んでない人すみません)
僕はどのように反リトルピープルモーメントを打ち立てるのかというと、

そう、新作を作るんです。新作作りという、非現実空間で
リトルピープルに対抗する。
ここ2日は戦っておりましたよ、実に。
ここまで、延び延びになると、ほんと戦いの様相を帯びてくる。

冬の間は、工房で作業していると思うから、寒さが堪えるのであって、
外で作業していると思えば、少しは気持ちが楽なのでは、と思い立ち、
制作の事を、「野外活動」と呼び、そんな小手先で乗り切ろうと目論んで
おりましたが、そりゃ、どだい無理ですわ。

あっ、物理的アプローチとしてブルーシートを隠すべく、
カーテン付けました。付けた瞬間に「透けるんかい!」ってツッコミましたが・・・



リトルピープルとの戦いで、新しいの10型作って、
削って5型生まれました。
最近の新作作りは、切り口だけ決めて作っていくと、
どんどん作りたい形が出てきて、思うがままにとりあえず作る。
今回は時間的制約もあり、10型で一度筆をおく。
それを削ったり、個々同士をフィードバックさせながら複数同時進行する作り方に
なってます。

いつも新作作るときは、アルバムをリピート再生にしますが、
今回は別野加奈さんのforget me notをリピート。すごく良いアルバムです。


ボツボックス(ダンボール)


生き残りボックス(ポリプロピレン)

明日は通常制作に戻ります。楽しい2日間でした。
リトルピープルよありがとう。(強がり)


おまけ

網戸の納まりの図
2019.3.6 | note

2019.2.7

岡山弁講座「てご編」

今年は1月から毎日少しづつ工房の手入れをしておりました。


工房見学の高校生に手伝ってもらい運んだ刻印機。
ストックルームの大きな棚なども運ぶ。


空いたスペースに新しい棚がやって来てくれました。
これは使いやすい。持ってきてくれた福本さんに感謝です。
すっきりしました。


簡易型紙かけを作る。(作る、という程のことではないけど。)




久々の失敗。
ひっくり返しの際に革が裂ける。
こうならないように、

の湿度計をセットして、見ながら行うのですが、
革がいつもよりしまっていたのが、原因でした。
最後の最後の工程なので、結構がっかり感があります。


工房のそばの斜面ですが、先週末に近所の方々と、綺麗にしました。
先々週は地域の山水の井戸の整備があったり、ここ最近はどんどん
環境が良くなっています。この辺りの方言では手伝う事を、「てご」と言います。

僕は大阪に住んでいて離れた時に、方言喋れるようにしとけば良かった。
と感じましたので、岡山弁をマスターすべく、聞き耳をたてております。

「てごしましょっか?」くらいならサラッと言えるようになりました。
2月は近所の神社の床貼りの、てごがあります。
ほんと水の確保やら、なんでもかんでも自分たちでやってしまう、
おじいちゃん集団は頼もしい限りです。

水道管なんかも80過ぎのおじいちゃんが
「昔3年がかりで水道を引いた。」と言ってるのを聞くと、
我が家で山水が使えるのも、とっても有り難く感じます。
とはいえ、よくよく考えれば、全てのインフラはそうなんでしょうね。
有難や。

「てご」は手伝うと訳されますが、よくよく聞いてると、
どこかに「お互いさま」ってニュアンスがほんの少し混じっているのを
感じます。2月は我が家の切った木を燃やすのをてごしてもらうので、
てごのしあいですね。

工房の事を書こうと思って書いていたら、岡山弁について書いておりました。
「やこう」って岡山弁もあるのですが、これはなかなか使いこなせない!
使いこなせるようになったら、ここで書きます。
2019.2.7 | note

2019.2.1

何恍惚しとんねん

早くも2月。
本日は革が届く。数日前に失敗したと連絡をもらっていたブラウンの革。

「見てびっくりしないでね。」と革屋さんが言っていたので、
覚悟はしていたけれど、勿論びっくりする。

表面塗装もせず、顔料も吹き付けしない、素上げの革には全てが出る。
僕が今回ビックリしたのは、あまりにも多くのものが出ていたからで、
革屋さんも、ほんといろんなものが出過ぎですよね。
とおっしゃっていた。

現在ANDADURAの革は栃木レザー(タンナーさん)のベースを
革屋の佐藤さんに加工・仕上げを行ってもらい、まぁオリジナルの革を
作ってもらっている。

今回の失敗は前回のキャメルに続いての2連続で、
安定的に失敗するという事は、失敗の原因をつきとめるのに、もってこいなので、
革屋さんとじっくりお話をする。
そして、今回の革を見る前に、次からはベースの革を変えようと話し合っていた。

そこで、本日の革の到着である。
まぁ、たくさん出ておりました。あらゆるものが。
革の傷やスレや、しわなど、いつものものに加え、おそらくタンナーさんの
やっつけ感や、革屋さんの気合いやなど諸々、これでもかってくらい、見えた。
革のベースを変えるしかないな、と思うよりも、
そんないろいろなものを見て、美しいなと感じる自分がいる。

前回のキャメルの革は染料ムラが大きな失敗要因で、それを見ても、
使える部位が少ないな、とか、革足りなくなるから追加で頼まなきゃな、
などど現実問題を考えていたけど、
今回は、諸々を含めても「あぁ、綺麗だな。」と素材に吸い込まれているのだ。
銀河系の写真を見ているような、感覚で革を眺める。

そして、なにやら、自分が幸福感を感じている事に気がつく。

んっ、失敗した革を見て、美しいと思う自分の感性に幸福感を感じてんのか?
と自分に突っ込んでみると、どうやら違うらしく、
単純に、美しさと幸福感はすごく近い場所にあるらしい、という事に気がつく。

今回のブラウンの革は、凄い体験をさせてくれたと思う。
まぁ、失敗は失敗なので、痛手(失敗革も全て買りますので)をこうむった訳だけど、
そんな事を忘れるくらいの、ぶっ飛び体験でした。

仕事中に何恍惚しとんねん。と言われると、
顔を赤らめて、照れることしかできないけど、

一枚の革に世界を見。
一片の染料ムラに天を見る。
汝の掌に無限を据え、
一時の中に永遠を見よ。

ウィリアム・ブレイクの詩が降りてくるような、
そんな革でした。

まぁ、仕事中に何恍惚しとんねん、って話なんですけど。
2019.2.1 | note

2019.1.8

2019年

2019年に入り1週間経ちましたが、
あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

毎年抱負めいたことを書いてましたが、
今年は一言。

みなさん、良い年にしていきましょう!
2019.1.8 | note

2018.12.31

2018年

毎年恒例の一年の振り返り。
2018年はとっても不思議な年でした。
7月の工房水没に「まつわるあれやこれや」な一年でした。

そうは言っても、3月位から新作作りもしておりました。
新しい素材で作っており、やはり新しい素材は身体に馴染むまでに
時間がかかりますね。6月末くらいにいくつか完成。
ビニール工場に制作をお願いするものもあったり(もう出来上がっております。)
して、そろそろ出そうかなと思っている所の水没でした。

3ヶ月で制作再開したものの、制作しながらも「まつわるあれやこれや」
を行っており、使えなくなった革をどうするか?などの事もまだまだ課題は
残っております。さすがに、「まつわるあれやこれや」が5ヶ月を超えると、
ブーブー言っておりましたが、
久々に自分の弱さみたいなものに、向き合えました。
これは貴重な事ですね。水没して良かったとは全く思いませんが、
良かった事も結構ある、とは言いたい心持ちです。

昨日は工房の塗装を終えて、気持ち的に落ち着きました。
隣のお家の方が餅つきに誘って下さるので、年末らしい時間を楽しみました。
割れた器を直したりの年末恒例行事も無事進めております。

2019年は(毎年思う事だけど)とってもよい一年になりそうです。

とはいえ、先日中古の機材が出て来て、つぶれた工場にお邪魔したのですが、
お会いする同業の方々との話は、いつまで革が作れるのか、という話になります。
僕の仕事は材料や素材を作る方々や機材の整備をする方の様々な仕事があって、
成り立っている仕事ですが、加速度的にいろんなモノがなくなっていっているのを
実際にも肌感覚でも感じます。

仕事を始めた2010年にも、この時代にモノを作るって事が
なにかしらの、しんがりを努めているような感覚(好きでやっているんですが)
がありましたが、それがどんどん濃厚になってきている感じです。

とはいえ、2019年は良い一年になりそうな予感です。
まぁ、いつの時代も変化の中で何かをやっているのでしょうし、
変化するきっかけが向こうからやって来てくれるのは、(受け入れるしかないんだから)
グダグダ言わず、歓迎したいと思います。
どんな状況になっても何かを生み出すって事には希望があると思いますので・・・

持ち越す事も多いですが、清々しい心持ちで2019年を迎えられそうです。
いろいろお世話になりまくりの一年でした。ありがとうございます。
みなさまも良い年をお迎え下さい。

これから炭をおこして昨日ついた、お餅を焼きます。楽しみ!
2018.12.31 | note

2018.12.24

Instagramはじめました

Instagramはじめました。
SNSはすごく久々でリテラシーはゼロに等しいですが、
宜しければandadura_yamamotoよりご覧下さい。
2018.12.24 | note

2018.12.13

ビニールシートライフ2

毎年思う事ですが、12月も半ば!一年が早い!
今日は風が強い1日。ビニールシートがしょっちゅうはがれます。
引き続きビニールシートライフを過ごしております。








こんな感じで、光の感じなど確かめながら、建具を考える。




在庫ボックスの様子。複数個になると、作りの個性が引き立って見える気がします。


検品の様子。
刷毛で糸を毛羽だたせ、燃して使っていて毛羽立ちを抑える為の
ひと手間。こういう作業は気持ち作業と呼んでます。

窓枠も来年に持ち越しになってしまった・・・
年内に完成させたかったので、今年は強引に旧暦を採用しようと思います。
2018.12.13 | note

2018.12.8

ネコのおじちゃんの石垣

我が家の隣(と言っても50mくらい離れている)の家に住む
ネコのおじちゃん。ネコを沢山飼っているおじいちゃんを
我が家ではネコのおじちゃんと呼んでいる。

数ヶ月前から、日中にカンカンを石を割る音が聞こえる。音の元を
探すとネコのおじちゃんが石を割っているのが見える。
豪雨の時に崩れた岩をツルハシで砕いている。

そして、先日気が付くとネコのおじちゃんの家に石垣が出来ていた。
これって、あの割った石で組んだの?
これは、ちょっと信じられない。ねこのおじちゃんと呼んでいるけど、
おそらく80歳は超えているおじいちゃんだ。

出来上がった石垣が近くで見たいのと、石垣の作り方を教えてもらおうと、
ネコのおじちゃんを訪ねる。


石垣の作り方を聞くと、薄々そういう答えが返ってくるかなと思っていたけど、
「適当に組む。」との事。
話を聞くと、豪雨の際に土砂崩れがあり、6個のおおきな岩が出て来た。
最初は業者さんにお願いして岩を砕いたけど、あとは、人力で
砕いて、石垣を組んだ、との事。



近くの木にはネコのおじちゃんの腕時計が吊るしてあり
「まぁ、遊びみたいなもんじゃ。」とおっしゃる。


石垣作りのコツは適当に組む事と、
素人ならば、キチンと面を揃えると綺麗に見える、と教えてもらいました。
文字で書くと出来なそうですが、実際に話を聞き、おじちゃんを見てると
出来るなと思わせてくれる、教えです。



民俗学の宮本常一さんの石垣の話を思い出します。
綺麗に組まれた石垣を見て、誰にも見られないのに
どういう思いでこの美しい石垣を作ったのか、という話。

先日我が家の大家さんが家に来た時に、
立派な石垣が出来ているから見に行こうと、近くでマジマジと眺めていました。
「いい石垣ですよね。」と声をかけると、
「立派な石垣じゃ。」と。

家から毎日見える場所にある石垣だけど、
見てると、とっても気分が良くなる石垣です。
2018.12.8 | note

2018.12.7

現在のところの工房ビフォア、アフター


ビフォア


アフター
2018.12.7 | note

2018.11.28

ビニールシートライフ

少し前の事になりますが、毎年恒例の豪渓の紅葉を見に行って来ました。
庭のもみじがあるので、それに合わせて行けば良いと思ってましたが、


1週間くらい遅かったみたいです。
しかし、それはそれで綺麗でした。





先週工房の左官作業&板金作業が終わりました。
左官作業をするのに、荷物を部屋の真ん中に寄せる。

しぶとく制作しています。

左官作業の様子

自分で塗ろうと、夏に左官作業を教えてもらった、通称師匠にお願いしました。
(左官は自分では難しいと判断)




簡単な箇所などは自分たちで行う。教えてもらいながら、一緒に作業。


この状態が


石膏塗りをを経て


になります。(塗り立てほやほや。)
息をするように左官作業をする師匠。




師匠の自作の道具たち。


作業中に現れたトンボ。


庭の紅葉もとっても綺麗でした。

一区切りついたので、建具を考える。

なんだかんだで、図面を起こすより、1/1で考える方が早いので、実寸で寸法を確認
しながら進めます。型紙用の紙を間違えていつもより薄いものをまとめ買い
してしまいましたが、その紙が枠やら建具を考えるのに、役立ってくれました。

作業の度にビニールシートをかけたり、はずしたり、
そんな日々です。
2018.11.28 | note
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