ANDADURA

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2023.7.4

new color ベージュ

 
ベージュのアイテムたち、HP & online shopにアップしました。
 
ベージュの革作りは、去年の4月頃より始めました。
その1ヶ月前の3月に行った展示会で、ANDADURAのアイテムを眺めていて、
何か腑に落ちなさを少し感じました。その時はその違和感が何なのか分からぬまま、工房に戻りました。
 
「あの違和感って何なんだろう」と頭の片隅で思いながら制作していて、1週間ほどしてハッと気がつきました。「色だ!」と。そのシーズンは軽やかで明るいカラーの服などが並んでいて、その空間の中で、ブラウン系が2色というのが、少し、重く感じたのだなと。
 
かといって、定番3色で制作しているので、どういう状況でも、定番の3色をベースで展示するしかない。そういうあり方に、少し柔軟性を持たせたいと思いはじめました。
 
2色の定番色に1色の流動色であれば、ある程度はその時の自分に合った色になるのでは、そうなると、2色の定番色は、どんな流動色がきても支えてくれる色味にしたい。
 
その時に、すぐに頭に浮かんだのが、独立当初より希望していたベージュでした。
すぐに革屋の佐藤さんに連絡しました。「昭南のベースだったら赤みがあるので、いけるかも」という楽観的観測のもと、ベージュの革作りがスタートしました。
 
革屋さんに理想の色味のサンプルを送り、サンプル制作が始まりました。ひとまず、理想を伝える色味のものは、時計のベルトで、顔料染めのものでした。
染料染めでは、それとは違う色になります。染料で染められる中での理想のベージュを見つける旅が始まりました。
 
革が届き、実際に制作し、要望を伝える。そうやって、色味を希望に近づけていく。といっても染料で染められる色の幅も分からないので、「この色です」と指定することもできないので、手探りで探す。ここから始めよう、とこうやってリリースしても、ベージュの革のアイテムの写真を撮ったり、文章を書いたりと、さまざまな視点から見ることで、色の捉え方が揺らぐところもあります。ずっとサンプルを作って理想に近づけていても、その時々で理想の色味も微妙に変化していく。
 
ここから先は、実際に出してみて、革を作る回数を重ねる中で、定めて行きます。定めるといっても、その時々で変わるんですけど、ひとまずは、ここからはじめてみます。
 
あいかわらず、着地させるまでに、やたらと時間がかかる性質です。展示会で感じたささやかな違和感はベージュという色になりました。
その他の色もいくつか写真を撮り直しましたので、少し見やすくなっているかと思います。よろしければ、HPなど、ご覧いただけますと嬉しいです。
 
 
2023.7.4 | information products material

2023.6.26

ANDADURAの定番カラー変更のお知らせ

 
ANDADURAは現在、キャメル、ブラウン、ネイビーの3色展開で、革のアイテムを制作しています。今後、ANDADURAのカラー展開を、ネイビーとベージュ(新たな色)の2色に変更します。

ネイビーはこれまで通り制作しますが、ベージュへの切り替えにあたり、キャメルとブラウンの革につきましては、工房の革がなくなり次第、終了となります。

お知らせするのは早いタイミングではありますが、キャメルと、ブラウンの革が無くなってからご案内ずるのは不親切かと思い、余裕を持ってお知らせさせていただきます。ベージュに切り替えるには、早すぎるくらい在庫は残ってますが、キャメル、ブラウンをご希望の方がいらっしゃいましたら、革があるうちにご注文いただけたらと思います。切り替えるといっても、革が残っているうちは、4色になります。

ホームページなども少しづつ切り替えていきます。ちゃんと整えてからと思っていましたが、今回は、やりながら整えていくやり方にします。
また、改めてご案内させていただけたらと思います。
 


・ベージュの色について


ベージュの色は、独立してから、革屋の佐藤さんに要望していた色です。これまでは、僕の希望するベージュの色味が出せないと言われてきました。
顔料を使えば出せるけど、タンニン鞣し&染料では、タンニンの色味が出て難しいとのことでした。

数年ほど前に、ベースに使用する革を栃木レザーから、昭南皮革に切り替えました。
昭南皮革の革は、ヌメの状態で、少し赤みがあります。ベースに赤みがあるならオリーブのような緑を含んだ色で染めたら、綺麗なベージュになるのではとの着想のもと革作りをスタートしました。色を染めることに意識が向いてましたが、打ち消しあう染め方があるとは、盲点でした。

革の染料による染めの難しさは、天候や湿度、なめしの時期などの諸要素で色が変わってしまう、この色味になったのは、どの要素がどのくらい影響を与えているのかが分からない点にあります。なんども作り革を見て、少しづつ、この要素がこう反映するんだと、分かっていくしかありません。どうなるか分からないという、不確実性があります。
 
ベージュの革も、その他の色と同様に、制作の回数を重ねる中で、色味は変わっていくことかと思いますが、ひとまずは、ここから始めようという地点に立てたかと思います。ベージュの色味が、安定する地点にまで持っていけるかは、なんども作らないと分からないことです。
そして、定番にしなくては、なんども作ることも出来ません(少量で染めるには革屋さんも僕も負担が大きい)ので、歩みを進めることにします。
 
試行錯誤ができるという、幸せな環境で革が作れたのは、革屋の佐藤さんの存在によるところが大きいです。いろんな素材がなくなっていく中、素材である革から作ることができ、なおかつ新たなチャレンジができることがなんとも嬉しいです。
 
これまでともに歩んできた、キャメルとブラウンに別れをつげるのは、少しさみしくもありますが、まだある革を作りながら、さよならとありがとうを伝えようと思います。
 
 
 
2023.6.26 | information material

2023.6.21

over the RainCowについて

 
キーホルダーとカード&名刺ケースは、over the RainCowという名前で、西日本豪雨の際に、水に浸かった革の汚れをさけて裁断できるように考えた小さなアイテムたちです。
 
水に浸かった革は、残り少なくなりましたので、over the rainCowのアイテムは、水に浸かった革ではなく、裁断して残った小さな革を使って作りつづけます。
 
長い時間をかけて、水に濡れた革を生かすことができました。ありがとうございます。
 
over the rainCowという名前は、当初のいきさつを反映したものですが、革を使い切ってムダにしないという、方向性は同じですので、そのままにすることにしました。
 
 
パッケージは少し変えました。キーホルダーを見た方が、「∞ インフィニティーだね」と言ってくださったので、モチーフにしました。改めて、よろしくお願いします。
 
 
2023.6.21 | information products

2023.5.15

ビニロンシリーズの廃色について

 

ビニロンシリーズは、サックス、チャコール、レンガの3色展開でアイテムを制作しておりますが、ビニロンの生地の生産が難しくなり、廃盤になるとの連絡を生地屋さんからいただきました。在庫限りで終了とのことでしたが、チャコールの生地はずでに在庫がなく、チャコールは工房にある生地がなくなり次第、終了となります。

サックスとレンガのみ生地を仕入れる事ができました。
今後はサックスとレンガの生地がなくなるまで2色展開になります。2色を制作しながら、次の素材を探せたらと思っております。



急なお知らせとなりましたが、僕自身も数日ほど前に知りました。
在庫がある別のカラーを加えた新たな3色にしよう、とか、チャコールの生地を持っている生地屋さんを探したりもしましたが、残った2色を並べて眺めていると、「2色という少ない色展開もいいのでは」と不思議と腑に落ちている自分もいました。

 



生地屋さんと「素材との別れは寂しいですね。」と、生地がなくなっていく感触を話せたのもよかった。ビニロンのチャコールくん(生地屋さんの色ネーム・スレートブラック)ありがとう、大好きでした。ちゃんと言葉にしておきたいと思います。

ひとまずは、手元にある素材を慈しみながら、しっかり制作していこうと思います。



花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ 

 

 

2023.5.15 | information

2023.5.12

5/25-6/4「ANDADURA 展示会」at ロク(京都)

京都のロクさんで、5月25日から6月4日に、手のひらにおさまる小さなお財布たちの展示を行います。定番の革 & ビニロンの中から、小さなお財布を展示します。

写真は新しく作ったベージュの革です。革屋の佐藤さんと、ここ1年くらいずっと試行錯誤していた色。

ベージュの色は、独立してから、佐藤さんに要望していた色です。
これまでは、僕の希望するベージュの色味が出せないと言われてきました。
顔料を使えば出せるけど、タンニン鞣し&染料では、タンニンの色味が出て難しいとのことでした。

数年ほど前に、ベースに使用する革を栃木レザーから、昭南皮革に切り替えました。
昭南皮革の革は、ヌメの状態で、少し赤みがあります。ベースに赤みがあるならオリーブのような緑を含んだ色で染めたら、綺麗なベージュになるのでは!との着想のもと革作りをスタートしました。色を染めることに意識が向いてましたが、打ち消しあう染め方があるとは、いやはや盲点でした。

ベースのヌメは裏面は白いので、素直にオリーブの色味になります。この表裏の色の違いが、どうなんだろうと頭を悩ませましたが、自分でサンプルを使っていると、なぜだかは分からないけど、裏面の緑みがスーっと消えていき、素直な色味になりました。まだ、1つしか使っていないので、全てがそうなるとは言い切れないですが、この葉っぱのように変わる裏面の色も、ベージュの革の面白い&不思議なところです。「ヌメで作れませんか?」と要望をいただいたこと、ヌメのベースに赤みがあることなど、さまざまな偶然が重なり生まれた色味です。

ベージュの革について書き始めると、長々となりますので、また改めて書きたいと思います。

ようやくお披露目できるのが楽しみです。
小さなお財布と共に、見ていただきたいです。



「ANDADURA 展示会」
会場:ロク
京都市左京区聖御院山王町18番地メタボ岡崎101
日時:5月25日(木)〜6月4日(日)
営業時間:13:30ー18:00  水曜定休

 

2023.5.12 | information

2023.3.10

3/12-28「ファーストリュック展示販売」at bollard(岡山)

 
岡山のbollardさんにて、子供たちが最初に使うファーストリュックの小さな展示を行います。
 
2023年のニューカラー
 
よあけ
たいよう
わかば
すみれ
あかつき
 
の5色。
 
bollardさんでは、去年に引き続き、2回目のファーストリュックの展示です。
定点観測のように展示させていただけるのがありがたいです。
 
気持ちの良い季節の玉野でご覧いただけたらと思います。
 
 

広島にあります、認定こども園さざなみの森さんと一緒に作った、子供たちが最初に使うファーストリュック。

さざなみの森の一角ではじまった minato: の活動として、じっくり対話を重ねながら、デザインさせていただきました。

リュックの色は、広島の田んぼ、岡山の田んぼを、それぞれ場所で眺めながら決めた、稲穂の垂れた秋を映す色。子どもたちへの成長の願いを込めた色です。

 

 
minato: 
さざなみの森の一角ではじまった さまざまなものづくりや場づくりを通して、一人ひとりが自分らしく生きていける世界へと向かう旅に寄り添う活動として、2021年に始まりました。
 
 

bollardさんより

 

子どもが、はじめて背負うリュック。
やさしい背負い心地と、やさしい色。

リュックを背負う姿を眺める人たちまで
やさしさに包まれるような『ファーストリュック』。

昨春にお披露目し好評だったリュックの、2023年版、
ジップの差し色新たな5色展開です。

生産数が少ないのですが、
今年も期間限定でご紹介できることになりました。

ぜひ、お気軽に実物をご覧になってくださいね!
春の宇野港でお待ちしています。


「ファーストリュック展示販売
会場:bollard 
岡山県玉野市築港1-10-6
日時:3月12日(日)〜28日(火)
営業時間:13:00ー17:00(日・月・火)
 
 
2023.3.10 | information

2023.2.20

2/25-4/6「小さな財布展」at カタカナ(東京)

 
自由が丘にあります、カタカナさんで開催される「第6回 小さな財布展」に参加します。ANDADURAの中でも小さなビニロンのアイテムたちを出品します。ビニロンのお財布をお使いいただき、お声がけ下さいました。
 
 「小さな財布展」は、さまざまな方が、小さなお財布を出品されています。
個人的には、ビニロンのお財布にスポットが当たることが新鮮で、いろんなお財布の中にビニロンのお財布が在る、というのが楽しみです。
 
4月6日までと長い会期になっています。ご覧いただけましたら嬉しいです。
 
 
「第6回 小さな財布展
会場:カタカナ自由が丘店 & オンラインストア
日時:2月25日(土)〜4月6日(木)
営業時間:11:00ー19:00(火定休)
2023.2.20 | information

2023.1.28

2/4-25「色奏環」at 84(広島)

 
広島の84さんにて、子供たちが最初に使うファーストリュックの展示「ファーストリュック展 ー色 奏 環ー」を行います。
 
最初にファーストリュックを作るお話をいただいた際に、心弾んだのは、自分が作った色の組み合わせを、ひとつの環境で見ることができる、ということでした。
 
子どもたちが登下校に使うリュックは、一つの環境の中に在って、その場所の風景になる。
環境、風景からものの形や色をイメージする。そんな作り方ができることにワクワクしました。
さざなみの森ににいく人、帰る人、たまたま通りがかった人、近くに住む人、さまざまな人が見る風景が、ささやかでも気持ちの良いものになればいいなと、園の周辺を散歩しながらリュックを考えました。
 
2022年に行った、選べるファーストリュック展で、35色のファスナーカラーを実際に作ったからこそ見つかった5色だと思います。
 
よあけ
たいよう
わかば
すみれ
あかつき
 
色を擬人化するならば、ともに響きあう5人かと思います。
 
楽しさ・よろこびがハーモニーのように、まざり合えばとの思いを、色奏という言葉にたくしました。色相環、は色彩用語で、色の輪です。色がつながり輪になる。
 
色の輪を見にいらしていただけたらと思います。
 

「ファーストリュック展 ー色 奏 環ー」
会場:84 
広島市中区幟町7-10
日時:2月4日(土)〜25日(土)
営業時間:13:00ー17:00(水日定休)

2023.1.28 | information

2022.10.25

PECHKAの道具たち 

オカズデザインさんとPECHKAという名前で協働でものづくりをしました。

「感覚に寄り添う道具」を作るPECHKAのアイテムとして、ミトンとアルミパンハンドルカバー、近所の軍手工場さんとワークグローブを作りました。それぞれ紹介していきます。
 
 
 
【ミトン】
 
オカズさんから最初に投げかけをいただいたのが、ミトンです。手首もカバーし、オーブン作業でも熱を感じないミトン。
ミトンに適した革を探すことから始めました。熱を感じない革の厚みを見定める事も必要でした。熱に触れるものですので、革が縮んだり硬くなったりすることも考え形を導きました。
 
PECHKAの道具を作る時、頭の片隅にあったのは、「なる」という言葉でした。
「作る」という行為の手前に、あるいはその周辺に漂う、ものが「なる・なろうとしている」気配のようなものを、手を動かしながら探しました。

「なる」ことだけで、ものを作るには僕(人間)には意識がありすぎます。それでも、感覚に寄り添う道具になるために「なる」という動きの輪郭を感じる必要があったように思います。
と前に書きましたが、このミトンは特にそのことを意識させるものでした。
果たしてカタチになるのか?ならないのか?そんな分からない状態で手を動かしてました。
 
その分からない状態に居続ける事で、PECHKAのイメージや、他のアイテムのイメージが広がったように感じています。
 
mittens
size : 270×172 (mm)
material : goat leather
 
 
 
【ハウスミトン】
 
その名の通り、家庭で使うことを考え作ったミトンです。コンパクトで着脱しやすく、熱を感じる部分は革を2枚重ねにしています。
手の形にそうように、使う線に無理がないように、複雑にならないように全体と部分とが自然と調和していくよう方向付けをしながら、全体の形を見つけていきました。
 
house mittens
size : 172×110 (mm)
material : goat leather
 
 
 
【アルミパンハンドルカバー】
料理人の方が数多く使うアルミパン。アルミは熱伝導率が良すぎて、ハンドルが持てなくなると聞き、作ったハンドルカバーです。
熱くなったフライパンを洗う際など、トングや箸などでアルミパンを抑えるとスポッと抜ける、ゆるさを持たせた着脱しやすいサイズ感で作りました。
 
上下は同じ形状にして、どちらからでも鍋に入れられます。鍋が入りやすいよう、テーパーを持たせました。テーパーの角度は137.5度。自然界によく見られる角度です。アルミパンの形状とマッチし、調和するよう形を導きました。
 
aluminum pan handle cover 
size : 162×35 (mm)
material : cow leather
 
 
 
【グンテミトン】
 
パン職人やオーブンを多用する料理人の方は、オーブンの出し入れの際、軍手を2枚重ねて作業をするそうで、ずっと良い軍手を探していると聞きました。
ANDADURAの工房からバイクで3分のところに軍手を製造する山本手袋さんがあります。そんな偶然から生まれたのが、グンテミトンです。
 
山本手袋さんが作っている軍手をたくさん見せていただき、出来ること、出来ないことを明確にして、制作に挑みました。
オーブンの出し入れの際に、やけどしやすい手首の部分もカバーするよう長く編んでいます。着脱しやすいように、手首を広くし、手首に仕込むゴムの数も減らしました。軍手の表を綿で編み、内側の部分には、空気を含み熱が伝わりにくくするよう中空糸を使いました。中空糸はムレにくい性質もあります。
 
オーブンの出し入れなどの短い時間であれば1枚でも熱を感じにくい厚手のミトンです。
 
軍手を2枚重ねて使われている方は、手首に入っているゴムを切ったりしてアレンジして使われているとも聞きました。
そんな方の作業に寄り添うグンテミトンとなってくれたら嬉しいです。
 
料理の時だけでなく、キャンプや焚き火などの火の周りでのご使用にもピッタリかと思います。
 
 
突然の依頼に、快く応えて下さった山本手袋さんに感謝です。
山本手袋さんが作った手袋のサンプルをオカズさんに送り、実際に使っていただき、フィードバックをいただく。
僕は伝書鳩のように山本手袋さんに伝える。そうしてまたサンプルを作っていただく。山本手袋さんとオカズさんの間を何度も往復しているうちに出来たように感じました。
 
gunte mittens
 
size : 全長370mm
material : 綿 65% ポリエステル 32% ポリウレタン 3%
 
PECHKAのアイテムはカモシカさんのHPにてご覧いただけます。
 
 
少し関係のない話をします。一休さんの話です。
ある時期、一休さんが座禅を組んで、頭につばをつけ「トントントン」とやっている時、一休さんの中で何が起こっているのかが無性に気になる時がありました。
アニメの中では、その行為の説明はなかったので、気になって推察しました。
 
一休さんが「トントントン」とやるのは、決まって無理難題に出くわした時で、普段の生活では「トントントン」は出てこない。
 
一休さんは、普通の理屈では道筋を立てられないような出来事を前にし、「トントントン」とやることで違う回路を開いているのだと思いました。
普段の意識では、出来事をなにかしら判断し、意識の上で扱いますが、「トントントン」の時は出来事をそのままの、無意識の海に放り投げる。
そんな無意識の回路が開かれている一休さんなので、その無意識の海は混沌としていて、判断つかないものが、そのままの形で有象無象に蠢いている領域をキープしている(たぶん)。
 
なので、その海に、無理難題をそのまま放り込む。こうやって一休の海の中で様々な事象との化学反応が起き。「チーン」と答えらしいものが導かれる。ある種、一休さんのオートメーション機能なのだと思いました。
 
一休さんがやることは、普通の理路で導かれるかどうかを判断するだけで、導かれないのであれば、海に放り投げる。
 
この通路って、ものづくりでも使えるのではと、あれこれ考えました。
その時に会った人には、「一休さん的ものづくり」について嬉々として話していたように思います。独立してすぐ位の時、ものづくりの仕方は一休さんからヒントを得ました。
 
ただ、僕の無意識の海は一休さんほど豊穣ではないので、「チーン」となるまでには、数ヶ月や1年くらいかかったりもします。時間はかかるけど、「チーン」はやってきてくれます。
 
少し前にある方と話をしていて、「山本さんは混沌を好む」と言われました。それで、僕の中の一休の海も少しは豊穣になったのだなと感じました。
 
関係のない話をします。と言ってましたが、関係なくはなく、協働で作ることは、投げかけがやってくるという事で、一休的に作ることがしやすいのだと思います。
 
一休さんはどうやってその海を見つけることが出来たのか?という疑問は、僕の中の一休の海を漂ってます。
 
 
2022.10.25 | information products

2022.10.25

PECHKAについて

11月11日から15日にオカズデザインさんが営むお店、カモシカで展示を行います。

展示のタイトルは「ペチカ」です。
展示に合わせ、オカズさんとPECHKAという名前で協働でものづくりをしました。

「感覚に寄り添う道具」を作るPECHKAのアイテムとして、ミトンと鍋つかみを作りました。
 


ここでは少し、PECHKAが生まれた経緯について書いてみようと思います。

3年くらい前に、オカズデザインさんに展示会のお誘いをいただきました。
展示の打ち合わせというか、雑談の中で、オカズさんからミトン作れませんか?との投げかけをいただきました。

これまで、ぴったりくるミトンをずっと探しているけど、見つからないとのこと。
ミトンって沢山あるけど、オカズさんにとって良いものが、ないんだなと思い、「考えてみますね。」と答えました。

ミトンは作ったこともないし、考えたことすらないアイテムです。
それでも、僕に頼んでくれるからには、僕はミトンを作れるんだろう、と思いました。


すると、これも作れませんか?と様々なアイテムがあがりました。

こんなにモノが溢れる中、オカズさんの世界にあっては、ピッタリなものが無い。
オカズさんの言う無いものを作っていくと、いったいそれは、どんな世界なのだろう、と興味が湧きました。

ミトンの方向性を決めるためのサンプルを送り、感想をいただきビックリしました。
そのフィードバックの肌理の細やかさに。オカズさん、そしてスタッフの方の意見が抽出され、良い点、改善した方がよい点などが書かれていました。これは、良いものになるぞ、と感じると同時に、安心しました。

それは、自分が使わないものは、何をどう組み立てていいのか分かりません。
使う精度が低ければ、作る肌理も荒くなるもので、ミトンを使う生活をしていない僕は、オカズさんからのフィードバックが、ものが生まれる生命線だからです。作り手が、細やかな使い手に出会えることは幸福なことです。

そうして、やりとりをしながらミトンの制作を進めました。
ANDADURAの展示に合わせ、ミトンを発表する。というのが、少々物足らなく感じてきました。

ミトンを出すだけだと、オカズさんの無い世界を立ち上げることは出来ないだろうし、ミトン目線から見ても、
一人だと寂しい。何より「無い世界を持つ、細やかな使い手」としてのオカズさんと、展示会に向けたミトンだけを作るのは、もったいないなと感じました。せっかくなら、オカズさんの世界が見られる、やり方を考え、このミトンはANDADURAとオカズさんが作るものではなく、何か違うかたちにしませんか?と提案しました。そのようにPECHKAは生まれました。
 
ペチカは家の半分を占めるほど大きな暖房です。
ペチカはそこにいる人を暖める。身体の力を抜き、リラックスして時を共にする。人々が集う食卓であり、病を癒し体を健やかに整える寝床。人々の誕生から、死までに寄り添う。ペチカは祈りの場所であり、日常の傍にいる存在。生活の中の祈りの場。
 
祈りというと、少々捉えにくいかも知れませんが、違う言葉に織り混ざっているのだろうと思います。
僕にとっては、眼差しを向け、感覚をつかうことのその先に祈りがあると感じています。
その静けさにPECHKAの道具が寄り添えたらと思います。
 
作り手として、5年後くらいにミトンの周りに、さまざまな人の作った道具(仲間)が増え、オカズさんの世界を見ることを楽しみにしています。
 
2022.10.25 | information
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