ANDADURA

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2010.12.21

かなりずれた経年変化?の話

ipodの話。ipodが発売されてから、現在まで、ずっと初代ipodを使っている。
ipodにおける、対人関係みたいなものは、日に日に変わっていたな、
と感じる。現在ではまったくフラットになったが、最初の頃に感じた事を
つらつらと。

初代ipodは高く(僕はバイトし購入)使っている人が少なかった。
なんだか、イアホンの白が誇らしげに感じたものだ。

電車の中で、白いイアホンを付けている人をたまに見かける事があったが、
そんな時は

「いやはや、あなたもですか。」
「そうです、僕もなんですよ。今日もがんばってゆきましょうね。」
みたいなメッセージを目で交わし合ったりした。

そして、だんだんと、白いイアホンを目にするようになった頃、
状況は少し変わり、最初の牧歌的な雰囲気とは異なり、
いささか、排他的な空気を感じたりした。

「ふん。俺は最初からもってたんだよ。まったく!ふん。」
みたいな、初代から買っていましたと、いうプレッシャーを
感じたりもした。

最初のうちは
「いえいえ、僕も最初からな性質ですよ。良い一日を、だんな。」
なんてやっていたが、めんどくさくなり、
そのうち、そんな目線を気付かぬふりを始めたのだ。
そんな時から、ipodに黒のイアホンを付けた人を見かけるようになった。
そんなやり取りがめんどくさくなったんだなと、思った。

その辺りから、おそらく白のイアホンはフラットになったのでは、ないか。
もう目線で語る事も無く、当たり前のようになった、白のイアホン。

ポケットから。もしくは鞄から、ニョロリと這い出る白のイアホン。

最初の頃の「お互い、今日もろくな事は無いかもしれないけど、
がんばってゆきましょうね。」というメッセージはそれはそれで
楽しかった。白いイアホンをしている人を見ると、
今日はどんなメッセージを交わすんだろうと、少し緊張したり、
嗚呼、この人はシャイなんだな、などと思った事もある。ipodを
持つ事で、言葉なくコミュニケーションを交わしていたあの頃。

しかし、時間とともにフラットになる。白いイアホンは、
ただの白いイアホンだ。暖かいメッセージも、がんばりましょうね、
も今は無い。

ipodを高いうちに買って良かった事は、こんなipodの変化を感じれた事
に尽きる。まったく人の意識とやらは、なんでそうなんだろうと思った出来事。
時間を感じた出来事でもある。時間を介し、均され、納まるところに納まるのだ、
モノごとは。

と7、8年前に感じた、かなりずれた経年変化の話。
2010.12.21 | note
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