ANDADURAを手伝うことになり、はじめに覚えることになった行程が「磨き」という作業。
どこを磨くの?
そんな所からはじまった。
「磨き」とは、裁断したパーツの切り口をヤスリや布を使って磨き整えていく作業。
表の革をはじめ、財布内側も目に映る部分はパーツごとに磨きをかけていく。
黙々と行うこの作業は、製品作りの4割近くを占めている。
見えにくいけれど製品のクオリティに関わる基礎部分である。
「ものをつくることは、みることから始まる」
この作業に関わり始めた時に山本さんから言われた言葉だ。
「まずはつくるものをしっかりと見て。」
頭では分かるものの、「つくるもの」を見るより行程をメモしているノートを見ていた。
「ここは、二回磨くって書いてるから二回磨こう」とか。
「ここは、粗めのヤスリを使うんだ」とか。
ノートの通りにやっても、上手くいかない。
あまりにも出来なくて、簡単なパーツを時間をかけてもいいからちゃんと磨き終える練習をすることにした。
「ここはなるべく早く手を手を動かしたほうがいいかな」
「ここは実は力を入れない方がいい」
自分の身体と頭でみていく。
その作業を繰り返す。気づけばノートを見なくなった頃、はじめて「ok」が出た。
繰り返しに見える同じ作業も、革は生き物だったから一枚一枚違う。
個体差があるから、全く同じ状態ということはない。
だからこそ、メモではなくて自分の身体で見ることが必要になる。
言葉でまとめていったものの、まだまだ勉強中。
磨きの作業をすると、毎日手がインクだらけになる。
しみだらけの手に最初は落ち着かなかったけど。
寝る前にはインクのない元の手に戻っていることが、
なんだかおもしろいと思う今日この頃です。
磨きの前後
こんな道具を使っています。
2017.7.11
磨きのこと
2017.7.11 |
ayanote